【今回のテーマ】
やったことが無い仕事を依頼される..これが転機となる!
というお話です。
「やったことがない仕事を頼まれてしまった……」
そんなとき、胸の奥が少しざわざわしますよね。
できるだろうか。
期待に応えられるだろうか。
引き受けて失敗したらどうしよう。
そもそも、自分にその資格があるのだろうか。
特に自営業をしていると、その不安はなおさら大きくなります。
会社員のように、組織の看板や上司のフォローがあるわけではありません。
仕事を受けるのも自分。
進めるのも自分。
責任を取るのも自分です。
だからこそ、ふとした瞬間に思うのです。
「今の仕事を、どこまで続けていけるのだろうか」
「いつまで一人でやっていけるのだろうか」
「この先も、仕事は途切れずに来るのだろうか」
こういう不安は、自営業をしている人なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
でも、不思議なことに、そういう不安のすぐ近くに「チャンス」が隠れていることがあります。
今回は、まさにそんなお話です。
1.初めて依頼された「社員研修のためのチェックリスト」
あるとき、40人ほどの社員を派遣しているソフト会社の社長から仕事の依頼がありました。
その会社は、ソフト会社としての事業だけでなく、別の事業も立ち上げようとしていました。
打ち合わせを重ねる中で、社員研修のための道具やツールが必要だという話になりました。
そこで出てきたのが、
「社員が自分で気づきを得られるチェックリストを作れないか」
という相談でした。
ただの確認表ではありません。
各自が、自分の仕事の現状を思い浮かべながら、
・仕事の現場で、こんな場面はないか
・そのとき、自分はこう考えていないか
・では、どう考えれば可能性を広げられるのか
そんなふうに、自分自身の仕事を見つめ直すためのチェックリストです。
しかも対象はひとつではありません。
・技術者向け
・営業向け
・管理職向け
この3種類を作ってほしいという依頼でした。
2.経験がない仕事ほど、自分にとってのテーマ決めることが大事になる
正直に言えば、それまで社員研修をした経験はありませんでした。
図解を使って企画書や提案書を作ることはしていました。
考えを整理し、相手に伝わる形にまとめることはしていました。
でも、社員研修のためのツールづくりは初めてです。
もしこの仕事を、
「社員研修のチェックリストを作る仕事」
とだけ捉えていたら、たぶん発想は狭くなっていたと思います。
項目を並べる。
質問を作る。
見やすく整える。
もちろん、それも大事です。
でも、それだけでは「研修で使う紙」はできても、「人が気づく道具」にはなりにくいのです。
そこで、仕事の主題を少し変えて考える必要がありました。
これは単なるチェックリスト作成ではなく、
「社員一人ひとりが、自分の仕事の見方を変えるための道具を作る仕事」
なのだと。
そう捉え直すと、考える土台が変わります。
チェック項目を作るのではなく、
気づきの入口を作る。
正解を教えるのではなく、
自分の現場を思い出してもらう。
評価するためではなく、
可能性を広げるために問いかける。
タイトルのつけ方ひとつで、仕事の意味が変わってくるんですよね。
3.「やったことがない」は、「何もできない」ではない
やったことがない仕事を依頼されると、ついこう思ってしまいます。
「経験がないから無理かもしれない」
でも、本当にそうでしょうか。
たしかに、社員研修そのものの経験はありません。
けれど、これまでにやってきたことが何も使えないわけではありませんでした。
・企画書を作ってきた経験。
・提案書を作ってきた経験。
・図解で物事を整理してきた経験。
・相手の頭の中にある曖昧な考えを、形にしてきた経験。
それらは、今回の仕事にもつながっていました。
つまり、初めての仕事であっても、完全にゼロから始まるわけではないのです。
経験の形が違うだけで、使える力はすでに自分の中にあることがあります。
大切なのは、
「この仕事は、自分のどの経験とつながっているのか」
と考えてみることです。
初めての仕事を前にしたとき、人は「できない理由」を探しがちです。
でも、少し落ち着いて見てみると、「使える経験」もちゃんとあるものです。
4.まず学ぶ。そして、自分の経験と組み合わせる
もちろん、経験がつながっているからといって、何もしなくていいわけではありません。
社員研修のためのツールを作るなら、社員研修について学ぶ必要があります。
そこで、たくさんの社員研修に関する本を買い込みました。
そして、本から得た知識と、自分自身の仕事の体験を組み合わせながら考えていきました。
ここがとても大事だと思いました。
知らない分野に挑戦するときは、背伸びだけでは足りません。
学ぶ必要があります。
でも、本に書いてあることをそのまま並べるだけでも足りません。
自分の現場感覚と結びつける必要があります。
知識だけでは、借り物になります。
経験だけでは、視野が狭くなります。
だから、
学んだこと × 自分の体験
この組み合わせが大切なのです。
今回のチェックリストも、ただ研修理論を並べるものではありませんでした。
・実際の仕事の場面を思い浮かべてもらい、
・そこで自分がどう考えているかに気づき、
・さらに別の見方へ進んでもらう。
そのためには、現場の感覚が必要でした。
仕事は机の上だけで起きているわけではありません。
人と人との関係の中で起きます。
迷いや不安や思い込みの中で起きます。
だからこそ、チェックリストの言葉も、現場に届くものでなければならなかったのです。
5.チャンスは、不安な顔をしてやってくる
結果として、その仕事にはかなりの時間をかけることになりました。
初めてのことですから、簡単ではありません。
調べることも多い。
考えることも多い。
作っては見直し、また作り直すこともあります。
でも、最終的には喜んでもらえるものができました。
そして何より、
「やったことがない仕事でも、学びながら形にできる」
という経験が残りました。
これは、とても大きな財産です。
自営業にとって、経験の幅が広がることは、そのまま未来の可能性につながります。
一度やった仕事は、次から「経験のある仕事」になります。
初めての仕事を引き受けることで、自分の仕事の領域が少しずつ広がっていきます。
もちろん、すべてを引き受ける必要はありません。
無理なものは無理と言っていいです。
自分の力では責任を持てないと感じる仕事は、断る勇気も必要です。
でも、少し背伸びすれば届くかもしれない仕事なら、そこには成長の種があります。
チャンスは、いつもキラキラした顔でやってくるとは限りません。
むしろ最初は、不安な顔をしてやってくることが多いのです。
まとめ:タイトルを変えると、仕事の意味が変わる
やったことがない仕事を依頼されたとき、私たちは不安になります。
それは自然なことです。
不安になるのは、真剣に向き合おうとしている証拠でもあります。
「初めてだからできない」ではなく、
「初めてだから学べる」かもしれません。
「経験がない仕事」ではなく、
「これまでの経験を別の形で活かす仕事」かもしれません。
この経験から、新しい仕事にチャレンジする勇気が湧いてきました。
そう考えられたとき、不安だった依頼が、少しずつ「ありがたい機会」に変わっていくのです。
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