【今回のテーマ】
弱者同士が、自分の「強み」を持ち寄って組んだとしても、うまくいかない
というお話です。
自営業をしていると、ふと不安になることがありますよね。
「このまま一人で営業していて大丈夫だろうか」
「もっと人脈を広げないといけないのではないか」
「誰かと組めば、自分に足りないものを補えるのではないか」
そんなふうに考えて、異業種交流会に参加したり、勉強会を開いたり、
知り合った人と「何か一緒にやりましょう」と話しかけられます。
私も、そういう気持ちはよく分かります。
一人で仕事をしていると、どうしても孤独になります。
営業先を広げたい。
新しい仕事につなげたい。
自分だけでは届かないお客さんに出会いたい。
だから、誰かと協力したくなるんですよね。
でも、ここに大きな落とし穴があります。
それは、
弱い人同士が「強み」を持ち寄っても、強い商品にはならないということです。
少し厳しい言い方に聞こえるかもしれません。
でも、自営業で長くやっていこうとすると、ここは避けて通れない話なんです。
1.「お互いの強みを持ち寄りましょう」は、なぜ魅力的に聞こえるのか
異業種交流会などで人と出会うと、よくこんな話になります。
「私は営業が得意です」
「私はデザインができます」
「私は士業の資格があります」
「私は企画書が作れます」
「じゃあ、お互いの強みを持ち寄って、何か一緒にやりましょう」
こういう話は、飲みながらだととても盛り上がります。
お互いに前向きな気持ちになりますし、何か新しいことが始まりそうな気もします。
一人ではできないことも、数人集まればできるような気がするんです。
実際に、チラシを一緒に作ったり、勉強会を開いたり、共同サービスを考えたりすることもあります。
ところが、具体的に動き出すと、だんだん見えてくるものがあります。
「思ったほど動いてくれない」
「言っている強みが、実際にはそれほどでもない」
「お客さんを連れてきてくれると思ったのに、誰も連れてこない」
「結局、自分ばかりが動いている」
こうなってくると、最初の熱気はすぐに冷めていきます。
そして、いつの間にか自然消滅する。
あるいは、関係が悪くなって終わる。
これ、けっこうよくある話なんですよね。
2.自分が思う「強み」と、市場が認める「強み」は違います
ここで大事なのは、
自分が強みだと思っているものが、市場から見ても本当に強みなのかということです。
たとえば、社労士の人がいたとします。
その人が、
「私の強みは、社労士としての経験です」
と言ったとします。
もちろん、経験は大事です。
資格も大事です。
専門知識も必要です。
でも、社労士の資格を持っている人はたくさんいます。
経験のある社労士もたくさんいます。
つまり、「社労士です」「経験があります」だけでは、まだ強みとは言い切れません。
それは、資格を持っていない人に対しては強みになります。
でも、同じ資格を持っている人たちの中に入った瞬間、競争になります。
その中で、
「なぜ、あなたに頼むべきなのか」
「他の社労士ではなく、あなたを選ぶ理由は何なのか」
ここまで言語化できて、はじめて市場に伝わる強みになります。
これは士業に限りません。
営業支援をしている人が、
「私は見込客を見つけてくるのが得意です」
と言うこともあります。
でも、本当に見込客をどんどん見つけてこられる人なら、そもそも「みんなで協力して頑張りましょう」という会に、そこまで期待して参加するでしょうか。
もちろん、参加する人もいるかもしれません。
でも、多くの場合は、自分自身も集客に困っているから、そういう場に来ていることが多いです。
つまり、お互いに「誰かが何とかしてくれるかもしれない」と期待しているだけなんです。
3.「図解が得意です」だけでは伝わらない
私自身の例で言えば、昔から図解を使って企画書を作ったり、マニュアルを作ったりしていました。
自分では、
「私の強みは図解です」
と思っていました。
でも、これがなかなか伝わらないんです。
なぜなら、図解というのは手段だからです。
機能であり、方法です。
お客さんが欲しいのは「図解」そのものではありません。
お客さんが欲しいのは、
・複雑なことを分かりやすくしたい
・社内で説明できる資料がほしい
・伝わらない業務手順を整理したい
・企画を通しやすくしたい
・人によってバラバラな仕事のやり方を標準化したい
という結果です。
つまり、「図解できます」と言っても、相手には価値が伝わりにくいんです。
「図解によって、あなたの何を解決できるのか」
「図解を使うことで、どんな成果が出るのか」
ここまで商品として組み立てないと、強みとしては弱いままです。
自分の中では得意なことでも、相手から見て「お金を払う理由」になっていなければ、商品にはなりません。
ここが難しいところなんですよね。
4.弱い人が集まっても、お客の来ない商店街のようになる
田舎に行くと、シャッターが下りたお店が並ぶ商店街を見ることがあります。
昔はにぎわっていたのかもしれません。
でも、今は人通りが少ない。
歩いていても、入りたくなるお店があまりない。
買い物をする理由が見つからない。
残っているお店も、店舗の裏が自宅だから何とか続けられている。
家賃がかからないから、営業コストが低くて生き残っている。
でも、その商店街全体に人を呼ぶ力がない。
魅力的な店が増えない。
新しいお客さんが来ない。
だから、じり貧になっていきます。
売れない自営業者が集まる状態は、これに似ています。
一人ひとりに集客力がない。
商品力も弱い。
打ち出し方も曖昧。
それなのに、「みんなで組めば何とかなる」と考える。
でも、集客力がない人が何人集まっても、集客力は自然には生まれません。
お互いに、
「あなたのお客さんを紹介してください」
「そちらの人脈を使わせてください」
「一緒にやれば集まるでしょう」
と期待しているだけになります。
でも、みんな同じように困っているわけです。
だから、当然うまくいきません。
最初は「協力しましょう」と言っていても、すぐに不満が出ます。
「誰が集客するのか」
「誰が資料を作るのか」
「誰が費用を負担するのか」
「売上はどう分けるのか」
「責任は誰が持つのか」
このあたりが曖昧なまま進むので、あっという間に関係が悪くなります。
そして最後は、
「やっぱり一緒にやるのは難しいですね」
となるわけです。
5.本当に必要なのは「仲間探し」より「商品力の強化」です
もちろん、人と組むことが悪いわけではありません。
良いパートナーと組めば、自分一人ではできない仕事ができます。
協力することで、より大きな価値を提供できることもあります。
ただし、それは**それぞれが自立した商品力を持っている場合**です。
自分の商品が弱いまま、誰かと組んでも、弱さが隠れるわけではありません。
むしろ、動き出した瞬間に弱さが見えてしまいます。
だから、自営業で最も大事なのは、まず自分の商品力を高めることです。
必要なのは、大きく分けるとこの2つです。
・自分の商品力を向上させること
・商品の打ち出し方を向上させること
この2つが弱いままだと、どれだけ交流会に出ても、どれだけ名刺を配っても、仕事は広がりにくいです。
自分の強みを軸にして、商品として形にする。
その商品が、誰のどんな困りごとを解決するのかを明確にする。
他の人ではなく、自分に頼む理由を言葉にする。
ここから始める必要があります。
6.「強み」は、競争力の土台です
強みというのは、単なる得意なことではありません。
自分が得意なこと。
お客さんが価値を感じること。
競合と比べて違いが出せること。
継続して提供できること。
このあたりが重なって、はじめて「強み」として機能します。
自分だけが「これは強みです」と思っていても、お客さんがそう感じなければ売れません。
商品が弱いと、人間関係が濃いところには売れるかもしれません。
昔からの知り合い。
友人。
紹介してくれた人。
応援してくれる人。
そういう人は、あなた自身を知っているので買ってくれることがあります。
でも、それだけでは広がりません。
広く営業を拡大しようとすると、商品そのものの魅力が問われます。
知らない人が見ても、
「これは自分に必要だ」
「この人に頼んでみたい」
「他よりも良さそうだ」
と思えるだけの打ち出しが必要になります。
そこが弱いと、せっかく買ってもらっても継続しません。
同じ品質なら安いところへ流れます。
もっと分かりやすい商品へ流れます。
もっと高品質なサービスへ移っていきます。
だから、マーケティングの前に商品力なんです。
最近はマーケティングがとても大事だと言われます。
もちろん大事です。
でも、商品力が弱いままマーケティングをしても、広まりません。
広告を出しても、発信をしても、紹介をお願いしても、
受け皿となる商品が弱ければ成果にはつながりにくいです。
マーケティングは、弱い商品を魔法のように売れる商品へ変えるものではありません。
良い商品を、必要な人に届けるための仕組みなんですよね。
つらいですが、ここに向き合う必要があります。
7.人と組むのは、自分の「強み」を商品化した後でいい
人と組むこと自体は、悪くありません。
でも、それは自分の商品力を磨いた後でいいです。
自分の商品が明確になっていれば、誰と組むべきかも分かります。
たとえば、
・自分の弱い部分を補ってくれる人
・同じお客さんに対して別の価値を提供できる人
・自分の商品と相手の商品が自然につながる人
・お互いに紹介し合う理由がある人
・責任範囲を明確にできる人
こういう人となら、協力関係は成立しやすくなります。
逆に、自分の商品が曖昧なまま人と組むと、何を持ち寄るのかも曖昧になります。
「何か一緒にやりましょう」
「そのうち形にしましょう」
「お互いの強みを活かしましょう」
こういう言葉だけが先行して、具体的な商品にならないまま終わります。
だから、まず自分です。
冷たいようですが、自営業ではここが大事です。
誰かが自分を売れるようにしてくれるわけではありません。
誰かが自分の強みを商品にしてくれるわけでもありません。
誰かの人脈に乗れば何とかなる、というものでもありません。
自分の商品力を高める。
自分の打ち出し方を磨く。
自分で選ばれる理由を作る。
そこからなんです。
まとめ:弱者連合ではなく、商品力を持った者同士で組む
弱者同士が集まっても、強者にはなりません。
集客できない人が何人集まっても、集客力は自然には生まれません。
商品力が弱い人が何人集まっても、魅力的な商品にはなりません。
お互いのお客さんを当てにしているだけでは、協力関係は続きません。
最も大事なのは、まず自分の商品力です。
自分の強みを見つめ直す。
それをお客さんの課題解決につなげる。
分かりやすく打ち出す。
選ばれる理由を作る。
この地味で苦しい作業から逃げないことです。
考えることは、しんどいです。
すぐに答えは出ません。
何日考えても、形にならないこともあります。
でも、目の前の作業に逃げて、長時間労働と安売りで消耗し続けるより、ずっと大事な時間です。
誰かと組むのは、その後でいいです。
自分の商品力を磨いた人同士が組めば、協力は力になります。
でも、商品力が弱いまま組んでも、弱さを持ち寄るだけになってしまいます。
自営業で活躍しようと思ったら、まずは商品力です。
交流会よりも、名刺交換よりも、仲間探しよりも、まず自分の商品を強くすることです。
そこから、ようやく本当の営業が始まるんですよね。
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