今回のテーマは、
半分しか振り込まれない請求金額
というお話です。
以前、東京・蒲田にあるソフト会社の案件を受けたことがありました。
仕事内容は、システムの機能を図解して整理する仕事です。
要件を聞いて、画面の構成や処理の流れをまとめて、関係者が見てもわかる形に落とし込んでいく。
いわゆる、システム開発の上流工程を支えるような作業でした。
これは自分にとっても、いつもやっているタイプの仕事でした。
特別に難しい案件というよりは、丁寧にヒアリングして、整理して、資料にしていけばきちんと進む内容です。
スケジュールも予定通りでした。
契約条件も「月末締め・翌月末振込」で合意していて、こちらとしては特に不安はありませんでした。
無事に納品して、請求書も出しました。
あとは入金を待つだけ。
そう思っていたんですよね。
入金確認で固まった日
翌月末、いつものように入金確認をしました。
すると、口座に入っていた金額を見て、手が止まりました。
「……ん? 金額が違う」
最初は、自分の見間違いかと思いました。
口座の数字をもう一度追い直して、請求書の金額も見直しました。
振込手数料が引かれているとか、そういうレベルではありません。
請求額の
半分しか振り込まれていなかったのです。
このときの感覚は、怒りというより、まずは困惑でした。
「え、どういうこと?」というのが素直な気持ちです。
請求書を間違えたのか。
先方が振込額を間違えたのか。
何かの手続き上の都合なのか。
いろいろ考えましたが、こちら側で理由はわかりません。
そこで、すぐに契約先の社長へ電話しました。
何かの手違いなら、その場で確認すれば解決できると思ったからです。
返ってきた言葉は「無かったから」
電話で事情を聞くと、社長から返ってきたのは、だいたいこんな言葉でした。
「無かったから、振り込めない。少し待ってくれ」
つまり、お金がないということです。
もちろん、会社経営にはいろいろな事情があります。
売上の入金が遅れることもあるでしょうし、予定外の支払いが重なることもあると思います。
特に小さな会社では、資金繰りが苦しくなることもあるでしょう。
だから、支払いが遅れること自体について、まったく理解できないわけではありません。
でも、問題はそこだけではないんです。
こちらとしては、こう伝えました。
「ないなら待つのはいいです。
ただ、せめて事前に連絡がほしいです」
これは本当に大事なことです。
約束した日に満額を払えないなら、払えないとわかった時点で連絡する。
いつまでにいくら払えるのかを説明する。
申し訳ないという姿勢を見せる。
それだけで、受け取る側の気持ちはかなり変わります。
でもその社長は、あまりピンときていない様子でした。
「支払いが遅れて申し訳ない」というより、
「今ないんだから仕方ないだろう」
という空気が先に立っていたんですよね。
数日後に聞いた、別の外注さんとのトラブル
数日後、別件でその会社に電話したときのことです。
電話口に出た事務の女性が、さらっとこう言いました。
「社長、いま蒲田警察署に行ってます」
警察署?
なぜ?
と思って聞き返すと、さらに驚く答えが返ってきました。
「外注さんを殴ったみたいで……」
思わず、「ああ……」という声が出ました。
もちろん、詳しい事情をその場で全部聞いたわけではありません。
でも、なんとなく流れは想像できました。
おそらく、他の外注さんにも約束通り支払えていなかったのでしょう。
しかも、社長の態度が上から目線だったのかもしれません。
外注側からすると、約束した報酬が払われない。
それなのに、相手から申し訳なさも伝わってこない。
そうなると、怒りはどんどん大きくなります。
言葉が荒くなる。
社長も反論してカッとなる。
そして、最悪の結末へ向かってしまう。
もちろん暴力は絶対によくありません。
でも、その前段階にあったであろう不信感や怒りは、想像できてしまいました。
支払いが遅れること自体も問題です。
けれど、もっと致命的なのは、
誠意のあるコミュニケーションがないことなんですよね。
「申し訳ありません」
「いつまでに、いくら支払います」
「残りはこの日に振り込みます」
こうした説明と約束の変更があれば、まだ話し合いになります。
でもそれがないと、相手からすれば、ただの踏み倒しに見えてしまいます。
そりゃ揉めます。
小さな会社の案件ほど、誠実さを見る
自営業をしていると、小さな会社から仕事を受けることもあります。
そして正直に言うと、こういう支払いトラブルは、残念ながら“あるある”でもあります。
大きな会社の案件では、支払いサイトが長いことはあっても、入金そのものの不安は比較的少ないです。
一方で小さな会社の場合、社長の資金繰りや考え方が、そのまま支払いに反映されることがあります。
売上は立っている。
でも入金はまだ先。
先に払わないといけないものがある。
だから外注費を後回しにする。
経営側の事情としては、そういう場面もあるのだと思います。
でも、外注側にも生活があります。
「半分しか振り込まれない」は、単なる事務処理のズレではなく、生活に直撃する問題です。
だからこそ、契約条件、入金日、分割になる場合の取り決めは、最初にきちんと確認しておく必要があります。
そして何より、相手が誠実に対応してくれる人かどうかを見ておくことが大切です。
仕事の内容や金額だけで判断すると、あとで痛い目を見ることがあります。
自営業を目指す方には、ぜひ覚えておいてほしいです。
仕事は「納品して終わり」ではありません。
入金されて、はじめて一区切りです。
そして、もし支払いが遅れたときに大事なのは、お金そのものだけではありません。
相手がどんな言葉で、どんな態度で向き合うか。
そこに、その人や会社の本質が出るんですよね。
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