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私が消去的に自営業になった理由を思い出す
会社の中で働いていて、ふと「このままでいいのだろうか」と思うことはありませんか。
仕事そのものが嫌いなわけではない。むしろ、きちんと働きたい。役に立ちたい。
できれば、安心できる組織の中で、長く安定して働きたい。
でも、なぜか毎日すり減っていく。
頑張っているはずなのに、力を発揮できている感じがしない。
そんな場所にいると、自分のほうが間違っているのではないかと思ってしまうことがあります。
私が自営業になった理由も、最初から「独立してやる」という強い野心があったわけではありません。
むしろ、消去法に近かったのです。
崩れていく組織を見た
自営業になってから、ある東京の取引先と関わることがありました。
その会社は、当時とても勢いがありました。加盟店ビジネスで急拡大し、お金も人も集まり、まさに成長期でした。
私はそこで、加盟店募集の仕組みづくりや、契約までの流れの設計、
加盟店が運営しやすくなるツールの作成などを担当していました。
つまり、営業を広げるための「仕組み」を作っていたわけです。
ただ、ずっと違和感がありました。
外に広げる仕組みは作っているのに、本部そのものを動かす仕組みが弱い。
誰が何を決めるのか。情報はどう流れるのか。問題が起きたとき、どう判断するのか。
そういう土台が、とても危うく見えたのです。
もちろん、私は若かったですし、経営を本当に理解していたわけではありません。担当外でもありました。
それでも、現場で仕組みを作っている人間として、
「このままではまずいのではないか」という感覚はありました。
お金が集まると、人間関係が変わる
お金が集まると、人も集まります。
そして、人が集まると、そこには力学が生まれます。
社長派、専務派。
水面下の駆け引き。
誰がどの仕事を握るのか。
誰の言葉が通るのか。
本来なら、会社をよくするためにエネルギーが使われるべきです。
でも、組織が不安定なまま大きくなると、そのエネルギーが内側の争いに向かってしまうことがあります。
売上が伸びているうちは、そうした問題は表に出にくいものです。
勢いがあると、多少の歪みは隠れてしまいます。
けれど、売上が落ち始めると、空気は一気に変わります。
資金の流れが滞り、責任の押し付け合いが始まり、情報が遮断され、不信感が増幅していく。
同じ会社なのに、そこにいるだけで消耗する空間になっていくのです。
真面目に働いている社員や、協力会社の人たちが割を食っている姿も見えてきました。
これは、なかなかつらい光景なんですよね。
働きがいが消えていく瞬間
その光景を見て、私は以前、自分が会社を辞めたときのことを思い出しました。
組織が混乱すると、仕事の中身よりも「立ち回り」が重視されるようになります。
何を作ったか。何を改善したか。どれだけお客様の役に立ったか。
そういうことよりも、誰につくか、どう見せるか、どう責任を避けるかが重くなってしまう。
上手く立ち回る人は評価されます。
一方で、真面目に仕組みを整えようとする人ほど疲弊していきます。
問題の根っこを見ようとする人ほど、面倒な人のように扱われることもあります。
冷静に振り返れば、誰かに追い込まれたというより、自分で自分を追い込んでいた面もありました。
「もっと頑張れば何とかなる」
「自分が我慢すれば済む」
そう思って、ぐずぐずと悩み続けていました。
でも、心と体は正直です。
私は鬱気味になり、病院にも行きました。薬も処方されました。
一粒だけ飲みました。
確かに気持ちは楽になりました。
ただ同時に、頭の性能が下がるような感覚がありました。
このまま飲み続けるのは危ない、と直感しました。
そのとき、はっきり思ったのです。
「このままここに居続けることはできない」と。
独立は、前向きな決意ではなかった
だから私の独立は、華々しいものではありませんでした。
「独立して成功してやる」という前向きな決意でもありませんでした。
本音を言えば、こうです。
「この会社の中では、自分は力を発揮できない」
会社を変えることは難しい。
組織の力学を変えることも、当時の自分にはできない。
ならば、自分が環境を変えるしかない。
その結果として、フリーのSEという道を選びました。
いわば、消去的な独立です。
ただ、後から振り返ると、その選択が今につながっています。
一人で仕事を始めたからこそ、考える力を磨く必要がありました。
説明する力、整理する力、構造を見る力が必要になりました。
それが、のちの図解思考にもつながっていったのだと思います。
もちろん、当時の自分は青かったです。
もっと上手く立ち回れたかもしれません。
もっと賢い辞め方もあったかもしれません。
40年以上経った今なら、そう思えます。
でも、あのとき環境を変えなければ、自分はどこかで壊れていたかもしれません。
いま悩んでいる人へ
もし今、会社の中で悩んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
この環境で、自分は力を発揮できているでしょうか。
それとも、ただすり減っているだけでしょうか。
無理にしがみつくことが、安定とは限りません。
かえって、自分のリスクを大きくしてしまう場合もあります。
だからといって、私は簡単に独立を勧めるつもりはありません。
独立には独立の厳しさがあります。
会社に残ることにも意味があります。
大切なのは、感情だけで決めないことです。
そして、誰かの正解ではなく、自分で選ぶことです。
環境を変えるのも選択。
残って工夫するのも選択。
どちらを選ぶにしても、「自分で選んだ」と思えることが、後の自分を支えてくれます。
人生は一度きりです。
だからこそ、自分が力を発揮できる場所を、あきらめずに探していいのだと思います。
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