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どんなことから、今の図解思考に行きついたのか、思い出話を踏まえて書いていこうと思います。

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こんな体験から図解思考へ  


0016: 可哀そうなコピー機の営業マン

今回は、
「可哀そうなコピー機の営業マン」
というエピソードです。

「一生懸命やっているのに、なぜか成果につながらない」

そんな悩みを抱えたことはありませんか。
本人はサボっているわけではない。むしろ真面目で、誠実で、汗をかいている。けれど、なぜか相手の心には届かない。仕事をしていると、そういう場面に出会うことがあります。

今回は、そんな少し切ない「コピー機の営業マン」の話です。

かつてコピー機は、仕事の相棒でした


独立したばかりの頃、私は自宅を仕事場にしていました。
当時はシステムの設計も手書きで行っていたので、コピー機はまさに必需品でした。

設計書を書いて、コピーを取って、資料として使う。
今のようにパソコンで何でも作れる時代ではありませんでしたから、
コピー機があることは仕事の効率を大きく左右していたのです。

それなりのコピー機をリースで入れて、日々使っていました。
そのコピー機のメンテナンスに、若い男性が時々来てくれていました。

彼はとても人当たりがよく、きちんと電話をしてから訪問してくれました。
こちらも「来るならコーヒーでも淹れておこう」と思えるような、感じのよい青年でした。

ドリップコーヒーを用意して、作業の合間に少し談笑する。
そんな穏やかな関係がありました。

でも、時代が変わってしまいました


やがて、仕事のやり方が変わっていきました。
手書きで作っていた設計書や資料も、パソコンで作るようになっていきます。

東京の会社に週に数日通って社長についていた頃には、PC-98で一太郎を使って文書を作っていました。
そうなると、手書きの資料はどんどん減っていきます。

当然、コピー機の出番も少なくなります。
「これはもう、次のリース更新はしなくてもいいな」と思うようになりました。

コピー機そのものが不要になってきたのです。

ところが、ここから少し困ったことが起こります。
あの人当たりのよかったメンテナンスマンが、営業マンになって、
新しいコピー機を売り込みに来るようになったのです。

それも、近くまで来たからと言って、アポなしで訪問してくるのです。
一度や二度ではありません。何度もです。

こちらとしては、事前に電話をくれれば、コーヒーくらい出します。
でも、忙しい時に突然やって来られると、さすがに困ってしまいます。

しかも彼は、切なそうな顔で、深々と90度のお辞儀をします。
その姿を見ると、こちらも責める気にはなれません。
でも、困るものは困るんですよね。


人間関係はあったのに、話を聞いてくれない


私は彼のことを嫌っていたわけではありません。
むしろ、メンテナンスマンとしてよくやってくれていたので、人間関係は大切にしたいと思っていました。

だから、正直に伝えました。
「これからはコピーは使わないけれど、プリンターならそのうち買うよ」
これは、こちらの本音でした。
コピー機はいらない。けれど、プリンターなら必要になるかもしれない。
だから、売るならそちらの提案をしてくれればいいのです。

でも、彼は聞いてくれませんでした。

彼が売りたいのは、コピー機なのです。
こちらが何を必要としているかではなく、自分が売らなければならないものを売りたい。

カタログを出し、見積もりを出し、何とか契約してもらおうとします。
会社に帰れば、上司から「さっさと決めてこい」と言われていたのかもしれません。

訪問のたびに、彼の表情はどんどん苦しそうになっていきました。
見ていて、可哀そうになりました。

でも、同時に思いました。

「これは、彼の心も体も、会社のお金も消耗しているだけではないか」

営業活動には、時間も交通費も人件費もかかります。
成果につながらない訪問を重ねれば、それは会社にとっても確実な損失です。

そして何より、彼自身がすり減っていきます。
意欲はある。誠実さもある。人間関係もあった。
それなのに成果につながらない。

本当にもったいないことでした。

足りなかったのは、根性ではなくプロセスでした


彼に足りなかったのは、気合いや根性ではありません。
営業マンとしての「プロセス」だったのだと思います。

営業には、流れがあります。
 ・どう顧客にアプローチするのか
 ・どう相手の状況を聞くのか
 ・どう関係を築くのか
 ・どう必要な提案につなげるのか
 ・どう成果に結びつけるのか
こうした一つひとつの行動が積み重なって、結果になります。

仕事の結果は、偶然だけで決まるものではありません。
良い結果を出せる人は、良い結果につながる行動を積み重ねています。
反対に、良い結果が出ない人は、そのプロセスのどこかに問題があるのです。

彼の場合、相手の話を聞く前に売り込んでしまっていました。
こちらは「コピー機はいらない」と何度も伝えているのに、
彼は「コピー機を買ってください」と繰り返します。

これでは、どれだけ一生懸命でも届きません。

営業とは、相手を説き伏せる仕事ではありません。
相手の困りごとを知り、その人にとって意味のある提案をする仕事です。

それを教えてもらえないまま現場に出されていたのだとしたら、彼だけを責めることはできません。

組織が教えるべきことは、たくさんあります


一年後、彼に会う機会がありました。
残念ながら、やっていることは同じでした。

こちらの話を聞かず、一生懸命に「買ってください」と売り込んできます。
その姿を見て、彼はこの一年、悩んだのだろうと思いました。

でも、悩んだだけでは変わりません。
大切なのは、その体験から何を学ぶかです。
 「なぜうまくいかなかったのか」
 「相手は何を求めていたのか」
 「自分の行動のどこを変えればよかったのか」

そうやって冷静に考えられれば、失敗は学びになります。
けれど、ただ苦しんでいるだけでは、同じことを繰り返してしまいます。

そしてこれは、組織の問題でもあります。

優秀な先輩社員がやっていることを、分かりやすく整理して教える。
アポの取り方、話の聞き方、提案の組み立て方、断られた時の振り返り方。
そうした基本を教えるだけで、状況は大きく変わったはずです。

意欲があり、誠実で、メンテナンスもしっかりできる彼なら、きっと成長できたと思います。
だからこそ、もったいないのです。


もったいない、と思います


一生懸命なのに成果が出ない人を見ると、「もっと頑張れ」と言いたくなることがあります。
でも、本当に必要なのは、頑張りを成果につなげるための道筋かもしれません。

人は、正しいプロセスを持てば変われます。
経験を学びに変えれば、次の行動が変わります。

可哀そうなコピー機の営業マンは、私にそのことを教えてくれました。
そして今でも思うのです。

誠実な人が、ちゃんと報われる働き方を学べる場所が、もっと増えるといいですね。





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