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「池田さんは、物を売らない人だから!」の言葉で気づかされる
今回は、
「池田さんは、物を売らない人だから!」の言葉で気づかされる
というエピソードです。
「自分は、何を売っているんだろう」
「この仕事は、自分に合っているんだろう」
「周りから期待されていることと、自分が本当にやりたいことは同じなのだろうか」
そんなふうに、少し心が揺れることがあると思います。
特に、会社の中やお客様の現場でいろいろな役割を任されるようになると、自分でも自分の立ち位置が見えにくくなります。営業なのか、企画なのか、サポートなのか、開発なのか。頼まれることが増えるほど、輪郭がぼんやりしてくるんですよね。
でも、時には自分ではなく、そばにいる誰かの一言が、その輪郭をくっきり見せてくれることがあります。
今回の話は、そんな一言についてです。
自由に動きながら、会社の中と外を見ていた日々
当時、週に2?3日、東京の会社に出勤していました。
営業プレゼンに入ったり、加盟店を訪問したり、社内や社外を自由に動いていました。夜もよく、いろいろな人と飲みに行っていました。
その中で、一番仲が良かったのが社長室長でした。
その方に言われた言葉を、35年以上たった今でも覚えています。
それが、
「池田さんは、物を売らない人だから!」
という言葉でした。
なぜ、そんな言葉が出てきたのか。
私はその会社の中に深く入り込んで、内情をよく知っていました。加盟店を募集するための営業ツールを作ったり、加盟店の運用マニュアルを作ったりしていました。
つまり、現場で動く営業マンを支えるための資料や仕組みを作っていたのです。
そのため、加盟店募集や運用サポートについては、場合によっては営業マンよりも私の方が詳しいくらいでした。新人の営業マンに、私が仕事の流れを説明することもありました。
中にいながら、少し外側からも見ている。
そんな全体を俯瞰できる立場だったのだと思います。
「加盟店になればいいのに」と言われた時
そんな状態でしたから、ある営業の人からこう言われました。
「池田さんも加盟店になればいいのに。よく知っているし、儲かるよ!」
たしかに、仕組みも知っている。営業ツールも作っている。運用方法もわかっている。外から見れば、「それなら自分でやればいいじゃないか」と思われても不思議ではありません。
でも、私は断りました。
なぜかというと、自分が中に入ってしまうと、冷静な立場で考えられなくなると感じていたからです。
加盟店になれば、当事者になります。売上を追い、利益を考え、自分の都合も入ってきます。そうなると、いままで見えていた全体像が見えなくなるかもしれない。
だから、自分は入ってはいけない。
そう感じていました。
そのやり取りを、そばで見ていた社長室長が言ってくれたのです。
「池田さんは、物を売らない人だから」
その言葉を聞いた時、私はとても納得しました。
「ああ、そうだ。自分は物を売らないんだ」
そう気づかされたのです。
売らないからこそ、見えるものがある
この言葉は、ただ「商品を扱わない」という意味だけではありませんでした。
私にとっては、もっと深い意味がありました。
物を売る人は、もちろん大切です。商品を届ける人がいなければ、事業は成り立ちません。営業する人、販売する人、現場で汗をかく人がいるから、お客様に価値が届きます。
一方で、私はその商品そのものを売るよりも、売れるための仕組みを考えたり、伝わる資料を作ったり、現場が動きやすくなるマニュアルを整えたりする方が向いていたのです。
・目の前の物を売るのではなく、事業の形を整える。
・人が動きやすくなるように、情報を整理する。
・頭の中にあるものを、図解や企画書にして見える形にする。
そういう役割だったのだと思います。
つまり、売らないからこそ、少し離れた場所から全体を見ることができたのです。
中に入りすぎない。
でも、外から眺めているだけでもない。
その立ち位置が、自分には合っていたんですよね。
その一言が、今につながっている
その言葉を聞いてから、私は意識して「物を売る」仕事をしていません。
カタチのある商品を仕入れて販売するのではなく、カタチのない事業企画や改善、営業ツールづくり、マニュアル作成などを仕事にしてきました。
・図解を使って、企画書を作る。
・現場の流れを整理して、マニュアルにする。
・営業マンが伝えやすいように、ツールを整える。
・ソフト開発の仕事では、必要に応じてパソコンも一緒に納品する。
そんな形で仕事をしてきました。
元SEですから、普通に考えれば、開発の仕事を中心に進んでいく道もあったのだと思います。けれど、いろいろな人に声をかけてもらい、頼まれたことに応えていくうちに、だんだんと今の仕事につながってきました。
独立した時から考えても、まったく想像していなかった場所に来ています。
でも、不思議と違和感はありません。
あの時の一言が、自分の仕事の軸を教えてくれたからです。
自分の役割は、人の言葉で見つかることもあります
私たちは、自分のことを自分で一番わかっているようで、実はそうでもありません。
自分にとって当たり前にやっていることほど、価値に気づきにくいものです。
周りから見ると「それが池田さんらしさだよ」と見えていることも、自分では普通のことだと思ってしまいます。
だからこそ、人から言われた何気ない一言を大切にしたいのです。
・「あなたは、こういう人だよ」
・「あなたには、これが向いているよ」
・「あなたの良さは、そこだよ」
そんな言葉の中に、自分の仕事のヒントが隠れていることがあります。
「池田さんは、物を売らない人だから!」
この言葉は、私にとって、自分の立ち位置を照らしてくれる灯りのようなものでした。
あなたにも、誰かから言われて忘れられない言葉があるかもしれません。
その言葉は、今すぐ意味がわからなくても、何年もたってから「ああ、そういうことだったのか」と気づくことがあります。
仕事の軸は、自分で決めるものでもあります。
でも、人との関わりの中で見えてくるものでもあるんですよね。
もし今、自分の仕事や役割に迷っているなら、過去に誰かから言われた言葉を思い出してみてください。
そこに、あなたらしい働き方のヒントが眠っているかもしれません。
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