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週に2日間、社長に同行取材し企画へ
今回は、
「週に2日間、社長に同行取材し企画へ」
というエピソードです。
仕事の原点は、現場で聞き、手でまとめることでした
「自分の仕事は、この先どこにつながっていくんだろう」
そんなふうに感じる時期って、ありませんか。
目の前の仕事は一生懸命やっている。
けれど、それが自分の力になっているのか、将来の武器になるのか、まだよくわからない。
特に若い頃や、独立したばかりの頃は、右も左もわからなくて、不安になることも多いですよね。
私にも、そんな時期がありました。
自営業としての手応えもまだなく、「自分はこれでやっていけるのか」と思いながら、日々の仕事に向き合っていました。
そんな中で出会ったのが、週に2日間、社長に同行して取材し、それを企画へ落とし込んでいく仕事でした。
今振り返ると、この体験が、今の仕事につながる大きな出発点だったのです。
社長について、取引先を歩く日々
当時の私は、週に2日間ほど社長についていました。
朝一番の新幹線で新潟から東京へ向かいます。
到着すると、すぐに会社へ行き、そこから取材活動が始まります。
社長に話を聞く。
会議に参加する。
営業マンに取材する。
加盟店の方に話を聞く。
やっていること自体は、これまでの上流工程専門のSEとしての仕事と大きく変わりませんでした。
相手から話を聞き、構造をつかみ、整理して文書にしていく。
いわば、システムを作る前の「考える材料」を集めていく作業です。
ただ、今回は相手が社長でした。
しかも、自分で事業を立ち上げ、全国に加盟店を開拓してきた人です。
関係会社を訪問する時にも同行しましたが、当時まだ若造だった私には、その姿がとてもまぶしく見えました。
「すごいなあ」
素直にそう感じました。
言葉の端々に、事業をつくってきた人の迫力があるんです。
机上の理屈だけではなく、実際に人を動かし、お金を動かし、仕組みを作ってきた人のエネルギーがありました。
私はとにかく必死に聞いて、メモを取りました。
その場で理解できることもあれば、あとで振り返ってようやく意味がわかることもありました。現場で聞く言葉には、あとから効いてくるものが多いんですよね。
集めた情報を、企画の部品にしていく
東京で集めた情報は、新潟に持ち帰って整理します。
社長の話、会議で出た議論、営業マンの声、加盟店の本音。
それらをバラバラのままにせず、ひとつずつ並べ直していきます。
そして翌週、まとめた資料を持ってまた東京へ行きます。
その資料を見ながら打ち合わせをして、少しずつ文書化していきました。
今思うと、これは単なる議事録作成ではありませんでした。
事業の構造を設計するための部品を作っていたのだと思います。
・どんな人が関わっているのか。
・どこに価値があるのか。
・どこでお金が動くのか。
・誰が何に困っているのか。
・どの仕組みを整えれば、事業として回るのか。
こうしたことを、聞きながら、考えながら、形にしていく仕事でした。
面白かったのは、社内の営業マンよりも、外部の協力者として事業に参加している人たちでした。
もちろん社内の人が面白くないという意味ではないのですが、外部の人たちには独特の迫力がありました。
癖のある人が多いんです。
でも、魅力的でした。
話していると、「自分で事業を起こすとは、こういうことなのか」と感じました。自分の判断で動き、自分の責任で仕事を取りに行き、自分の言葉で未来を語る。その姿は、当時の私にとって、とても大きな刺激でした。
私はまだ、自営業としての手応えを感じられていない時期でした。
だからこそ、その人たちの言葉や振る舞いから、たくさん学ばせてもらいました。
週に2?3日東京にいて、新潟に戻って資料をまとめる。
そうしていると、一週間は本当にあっという間でした。
デジタルとアナログの二刀流で資料を作る
今なら、資料作成はパソコンひとつでかなりのことができます。図も表も、きれいに作れますよね。
でも当時は、そうはいきませんでした。
使っていたのはPC98です。文章は一太郎で作っていましたが、今のように簡単に図解できる環境ではありませんでした。
では、どうしていたのか。
文章部分は一太郎で作ります。
図解する部分は、方眼紙に穴あき定規を使って、枠や線を手で描きます。
そして、一太郎で印字した単語や文章をカッターで切り取って、方眼紙に描いた枠の中に糊で貼っていくのです。
最後にそれをコピーして提出します。
まさに、手作業と一太郎のデジタル・アナログ二刀流でした。
私はわりと几帳面な性格なので、鉛筆の芯をメモ用紙で尖らせながら、慎重に線を引いていました。方眼紙に鉛筆で引く線は、きれいにそろうと気持ちがいいんです。
今では考えられないような作業です。
でも、不思議なことに、その手間があったからこそ、頭の中でも構造が整理されていきました。
・手で線を引く。
・言葉を切って貼る。
・配置を考える。
その作業の一つひとつが、「この事業はどう成り立っているのか」を考える時間になっていました。効率は悪かったかもしれませんが、身体で理解していく感覚があったんですよね。
充実と、少しの慢心
その仕事は、とても充実していました。
社長に同行し、現場の声を聞き、情報を整理し、企画として形にしていく。
お金も約束通り、末締めの翌末払いできちんと振り込まれました。
若い私にとって、それは大きな自信になりました。
「自分でもやれるかもしれない」
そう思えたことは、確かに大切な経験でした。
ただ、その一方で、私は少し調子に乗ってしまいました。
・いい仕事をしている。
・社長と直接仕事をしている。
・ちゃんとお金も入ってくる。
そんな状況の中で、若い私は少しずつイイ気になっていったのです。
今ならわかります。
自信は大事です。でも、慢心は危ないです。
仕事がうまくいっている時ほど、足元を見る必要があります。
評価されている時ほど、学ぶ姿勢を忘れてはいけません。
この経験は、今の仕事につながる大切な出発点でした。
同時に、「調子に乗ると危ない」という教訓も残してくれました。
現場に同行し、話を聞き、手を動かして整理し、企画へ落とし込む。
その積み重ねが、私の仕事の土台になっています。
振り返ると、遠回りのようで、全部必要な時間でした。
若い頃の必死なメモも、方眼紙に引いた線も、糊で貼った言葉も、
今の自分を作ってくれた大切な部品だったのです。
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