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どんなことから、今の図解思考に行きついたのか、思い出話を踏まえて書いていこうと思います。

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「知のシート」で経験知を積上げて資産化する 自分の才能を活かして誰かの役に立とう!

0052「言・事・心」のパネルとの出会い  


【今回のテーマ】
「言・事・心」のパネルとの出会い

というお話です。

たった一枚の図が、人生の向きを変えることがあるんです。
「自分は、何を目指しているんだろう」
そんなふうに、ふと立ち止まってしまうことはありませんか。

毎日それなりに仕事をしている。
目の前のことも、なんとかこなしている。
でも心のどこかで、
 「このままでいいのかな」
 「もっと深く考えられる人になりたい」
 「自分だけの軸のようなものが欲しい」
そんな思いが静かに残っている。

若いころの私も、まさにそうでした。

何かを探しているようで、何を探しているのか自分でも分からない。
でも、ただ部屋にいるだけでは見つからない気がして、休日になるとよく歩いていました。

考え事をしながら、知らない道を歩く。
途中でお茶を飲んだり、どこかで昼ごはんを食べたりする。
目的地があるようで、ないような散歩です。

でも、人生には不思議なもので、そういう「目的のない時間」の中に、
あとから振り返ると大きな意味を持つ出会いが隠れていることがあるんですよね。

1.休日の午後、馬喰町で足が止まった


もう、35年以上前のことになります。
私がまだ若かったころの体験です。

当時、住民票は地元に置いたままでしたが、東京都内に部屋を借りて、長期で東京の仕事をしていました。

休日になると、数時間歩くことがありました。
歩くことそのものが好きだったというより、考えながら歩く時間が好きだったのだと思います。

その日は、錦糸町から歩き始めました。
知らない道を歩き、街の表情を眺めながら、馬喰町のビル街まで来ていました。

休日の午後3時ころです。

人通りはありません。
休日のビジネス街。

そのとき、少し大きめのビルの半地下になっている1階の事務所の窓に、
あるパネルがかけてあるのが目に入りました。
そこには、三角形の頂点に丸で囲まれた文字が書かれていました。



「言・事・心」

私は、思わず足を止めました。

「何だろう?」

最初は、ただの好奇心でした。
でも見ているうちに、ただの飾りではない気がしてきました。

「すごい切り口だ」

そんな思いが湧いてきました。

立って見て、少し角度を変えて見て、しゃがんで見て。
気づけば15分くらい、そのパネルの前にいました。

今思えば、かなり怪しい若者だったかもしれません。
休日のビル街で、半地下の事務所の窓をじっと見つめているわけですから。

でも、そのときの私は本当に引き込まれていたのです。

---

2.「言・事・心」という三つの文字が投げかけてきたもの


「言」
「事」
「心」

この三つの文字は、とてもシンプルです。
でも、並べられると急に奥行きが出てきます。

人は、言葉で何かを伝えます。
でも言葉だけでは、現実の出来事をすべて表せるわけではありません。

一方で、出来事だけを見ても、その奥にある思いや意味までは分からないことがあります。

そして、心。
心は見えません。
けれど、言葉にも行動にも、必ずにじみ出てしまうものです。

人の仕事も、人間関係も、商品開発も、組織づくりも、
結局はこの三つの間を行ったり来たりしているのではないか。

言葉にする。
事実を見る。
心をくみ取る。

その三角形の中に、人間の営みがある。

若かった私に、そのパネルはそんな問いを投げかけてきたように感じました。

3.奥から出てきた高齢の男性


すると、事務所の奥から高齢の男性が近づいてきました。
そして、声をかけられました。

その方が、広野穣先生でした。

そのときの私は、何も知りませんでした。
ですから、平然と話していました。

けれど、あとになって分かりました。
その方は、ものすごい先生だったのです。

私の年代であれば、多くの人が知っているマツダの「赤いコスモ」。
そして、宝焼酎の「純」。

その商品開発に関わっていた方でした。

「赤いコスモ」と聞くと、今でもあの時代の空気がよみがえります。

私が高校を出て東京へ行ったころ、先輩がその「赤いコスモ」に乗っていました。
本当にカッコイイ車でした。

「すごいお金持ちの息子なんだろうなあ」

そんなふうに思って見ていました。

一方で、そのころの私の現実は、安アパート暮らしです。
友達と焼酎の「純」をスプライトで割って飲んでいました。

それまで焼酎には、どこか「労働者の安いお酒」というイメージがありました。
でも「純」が出てから、焼酎が少しおしゃれな安いお酒になったように感じました。

甘くておいしくて、すぐに酔える。
そこが良いんですよね。

そんな商品を開発していた方が、目の前にいたのです。

4.何も知らなかったから、出会えたのかもしれない


もし私が最初から、その方のすごさを知っていたら、きっと緊張して何も話せなかったと思います。
 「この人は有名な先生だ」
 「失礼があってはいけない」
 「変なことを言ってはいけない」
そんなふうに考えて、言葉が出なくなっていたかもしれません。

でも、何も知らなかったからこそ、私は自然に話せました。
パネルを見て感じたことを、そのまま言えたのだと思います。

出会いというのは、不思議です。

肩書きから入る出会いもあります。
紹介状から始まる出会いもあります。
名刺交換から始まる出会いもあります。

でも、私にとってのこの出会いは、一枚のパネルの前で立ち止まったことから始まりました。
 「何だろう?」
 「すごいな」
 「もっと知りたい」
その小さな好奇心が、次の扉を開いてくれたのです。

5.その事務所でお手伝いをするようになった


その出会いをきっかけに、私はその事務所で開催される講座の運営や、
パーティの準備、片付けなどのお手伝いをするようになりました。

参加している会社は、誰もが知っているような上場企業ばかりでした。
一社や二社ではありません。
ほぼすべてが大企業でした。

若い私からすると、ただただ驚きでした。
 「すごい先生なんだなあ」
そう思いながら、お手伝いをさせてもらっていました。

でも、広野先生のすごさは、有名企業が集まっていることだけではありませんでした。

本当に圧倒されたのは、先生が持っていた知の蓄積です。

6. 5万枚の「知のシート」


広野先生は、A4版の文書を大量に持っておられました。
先生はそれを、「知のシート」と呼んでいました。

その数、なんと5万枚。

しかも、ただ文章が書いてあるだけではありません。
図解され、構造化されていました。

私はその質の高さと量に圧倒されました。

一枚一枚が、考え抜かれている。
単なるメモではない。
思いつきの記録でもない。
経験や知見が、誰かに伝わる形に整えられている。

言葉があり、事実があり、そこに込められた思考がある。
まさに「言・事・心」が一枚の紙の上で結びついているように感じました。

私自身も、パワーポイントが発売される前は、
Macの「インスピレーション」というソフトを使って、図解した文書を書き溜めていました。

けれど、今から思えば、かなり陳腐なものでした。
もちろん、そのときは自分なりに一生懸命でした。
でも、広野先生の文書群を目の当たりにしたとき、私は思いました。

「すごい」

そして、同時にこう思いました。

「私の目指すところは、これだ」

7.知識は、集めるだけでは力にならない


私たちは、日々たくさんの情報に触れています。

本を読む。
人の話を聞く。
ネット記事を見る。
動画を見る。
仕事で経験する。
失敗する。
誰かに叱られる。
誰かに助けられる。

でも、それらは放っておくと流れていきます。

「ああ、いい話だった」
「なるほどと思った」
「勉強になった」

そう感じても、数日たてば薄れてしまうことが多いです。

大切なのは、出会った知識や経験を、どう自分の中に残すかです。
そして、どう使える形にしていくかです。

広野先生の「知のシート」は、その答えの一つでした。
 知識を集める。
 経験を言葉にする。
 構造化する。
 図解する。
 何度も見直す。
 人に伝えられる形にする。

そこまでして初めて、知識は自分の力になります。

ただ知っているだけではなく、使える。
ただ思っているだけではなく、伝えられる。
ただ経験しただけではなく、再現できる。

それが「知のシート」の持つ力だったのだと思います。


8.自分の「知のシート」を持つということ


広野先生の5万枚の「知のシート」を見たとき、私は圧倒されました。
同時に、強く憧れました。

「私も、こういうものを蓄積していきたい」

そう思いました。

もちろん、最初から5万枚など無理です。
一枚からです。
一つの気づきからです。
一つの体験を、言葉にするところからです。

仕事でうまくいったこと。
失敗したこと。
人に教わったこと。
自分なりに考えたこと。
誰かの言葉にハッとしたこと。

それをただ流さずに、書き留める。
できれば構造化してみる。
関係性を図にしてみる。
あとから見返せる形にしておく。

それは、自分だけの「知のシート」になります。

ノートでもいいです。
メモアプリでもいいです。
図解ソフトでもいいです。
紙のカードでもいいです。

大切なのは、日々の気づきを「使える知恵」に変えて蓄積していくことです。


おわりに


もし今、あなたが「何かを探しているけれど、何を探しているのか分からない」と感じているなら、
少し歩いてみるのもいいかもしれません。

知らない道を歩く。
気になる言葉の前で立ち止まる。
不思議だと思ったものを、もう少し眺めてみる。
誰かの話を、少し深く聞いてみる。

そこに、次の扉があるかもしれません。

そして、日々の中で出会った言葉や出来事を、どうか流さずに残してみてください。

言葉にする。
事実を見つめる。
心を感じる。

その積み重ねが、いつかあなた自身の「知のシート」になっていきます。

私にとっての始まりは、馬喰町のビルの半地下にかかっていた、
たった一枚の「言・事・心」のパネルでした。

人生を変える出会いは、案外そんなふうに、静かな午後の街角に置かれているものなんですよね。














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